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闥
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たつ
ふりがな文庫
“
闥
(
たつ
)” の例文
待つこと一分ならざるに眼光
烱々
(
けいけい
)
たる老人あり。
闥
(
たつ
)
を排して入り来り、英語にて「よく来た、まあ坐れ」と言う。勿論辜鴻銘先生なり。
北京日記抄
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
堂の
闥
(
たつ
)
を押さんとする時何心なく振り向けば十蔵はわが外套を肩にかけ片手にランプを持ちて事務室の前に立ちこなたをながめいたり。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
紐釦
(
ボタン
)
が出ていてこれを踏みさえすれば、隣室に忍んでいる用心棒が私の背後の
闥
(
たつ
)
を排して、ニュウッと現れる仕組みになっていたのであった。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
主題の提出を
乞
(
こ
)
い受けて、即座に豪壮
絢爛
(
けんらん
)
極
(
きわ
)
まる変奏曲をつけ、弾き終ると、驚き呆れるモーツァルトを
尻目
(
しりめ
)
に、
闥
(
たつ
)
を
鎖
(
とざ
)
して外へ出てしまった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
闥
(
たつ
)
を排して
眼
(
まなこ
)
を射れば——
黄金
(
こがね
)
の寝台に、位高き
装
(
よそおい
)
を今日と
凝
(
こ
)
らして、女王の
屍
(
しかばね
)
は是非なく
横
(
よこた
)
わる。アイリスと呼ぶは女王の足のあたりにこの世を捨てぬ。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
形容すべからざる嫉妬の念が、老衰した己の筋肉の間を狂奔して、その
拘攣
(
こうれん
)
してゐた生活力を鞭うち起たしめた。己は
闥
(
たつ
)
を排して闖入しようとしたことが二十
度
(
たび
)
にも及んだだらう。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
地震ぞと叫ぶ声室の
一隅
(
いちぐう
)
より起こるや江川と呼ぶ少年真っ先に
闥
(
たつ
)
を排して
駆
(
か
)
けいでぬ。壁の落つる音ものすごく玉突き場の方にて起これり。ためらいいし人々一斉に駆けいでたり。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
無人の境におった一人坊っちが急に、
霰
(
あられ
)
のごとき拍手のなかに包囲された一人坊っちとなる。包囲はなかなか
已
(
や
)
まぬ。演奏者が
闥
(
たつ
)
を
排
(
はい
)
してわが
室
(
しつ
)
に入らんとする
間際
(
まぎわ
)
になおなお
烈
(
はげ
)
しくなった。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すると爺さんも
中折
(
なかおれ
)
も急に消えて、その代り肥った吉川夫人の影法師が頭の
闥
(
たつ
)
を排してつかつか
這入
(
はい
)
って来た。連想はすぐこれから行こうとする
湯治場
(
とうじば
)
の中心点になっている清子に飛び移った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
予は
闥
(
たつ
)
を排して内に入りぬ。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
青天にも白日にも来り、大道の真中にても来り、衣冠束帯の折だに容赦なく
闥
(
たつ
)
を排して
闖入
(
ちんにふ
)
し来る、機微の際
忽然
(
こつぜん
)
として吾人を
愧死
(
きし
)
せしめて、其来る所
固
(
もと
)
より知り得べからず、其去る所亦尋ね難し
人生
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“闥”の意味
《名詞》
王宮の門。
(出典:Wiktionary)
闥
漢検1級
部首:⾨
21画
“闥”を含む語句
乾闥婆
乾闥婆城
乾闥婆大刀軍将
大闥
阿闥婆