けつ)” の例文
けつという村の出身だった一少年が、先師の家で取次役をさせられていた。そこである人が、先師にたずねた。——
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
かりにも史書のけつを補うというがごとき態度ではなかったので、もしこんな話が後代に及んで珍重されたとするならば、それはもう『義経記』も耳にたこ
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
たま/\燕王の護衛百戸の鄧庸とうようというもの、けついたり事を奏したりけるを、斉泰いてとらえて鞠問きくもんしけるに、王がまさに兵を挙げんとするの状をば逐一にもうしたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
我の家庭的に少年を教へて徳育に進ましめんとするはこのけつを補はんがためなり。
病牀譫語 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
一、院中へ史局を設け『六国史』以下のけつを補う事。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
彼長駆してけつを犯さば、何を以てこれふせがん、陛下惑いたもうなかれと。しょう錦衣獄きんいごくに下す。燕王きいおおいに怒る。孝孺の言、まことしかり、而して建文帝のじょう、亦あつしというべし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
旗を挙げけつはしるの首魁と為らんとす。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
斉泰せいたい黄子澄こうしちょう、皆とらえられ、屈せずして死す。右副都御史ゆうふくとぎょし練子寧れんしねいばくされてけつに至る。語不遜ふそんなり。帝おおいに怒って、命じてその舌をらしめ、曰く、われ周公しゅうこう成王せいおうたすくるにならわんと欲するのみと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)