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閉塞
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へいそく
ふりがな文庫
“
閉塞
(
へいそく
)” の例文
その場合に前述の甲型の人間が多いと、階段や非常口が一時に押し寄せる人波のために
閉塞
(
へいそく
)
して、大量的殺人現象が発生するのである。
蒸発皿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
広瀬中佐は日露戦争のときに、
閉塞
(
へいそく
)
隊に加わって
斃
(
たお
)
れたため、当時の人から
偶像
(
アイドル
)
視されて、とうとう軍神とまで
崇
(
あが
)
められた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
クリストフはこの強健な
嫌悪
(
けんお
)
を事とする危機を通っていた。自分の一身を
閉塞
(
へいそく
)
してる不消化物を本能的に排出していた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
下水道の
浚渫
(
しゅんせつ
)
はまったく豪雨にうち任せてあったが、雨水はそれを掃除するというよりも
閉塞
(
へいそく
)
することの方が多かった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そこで、さしも全権を
振
(
ふる
)
っていたこの連中が、一時に
閉塞
(
へいそく
)
して、ことごとく船の底へ下積みにされてしまいました。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
「驚いたろう。俺は、ここに二十年あまりもいる。万一有事のとき、ナイルの水源を
閉塞
(
へいそく
)
するためにかくれている。俺はドイツ人でバイエルタールという男だ」
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
毒々しい濁り水のために、人事のすべてを
閉塞
(
へいそく
)
され、何一つすることもできずむなしく日を送っているは、手足も動かぬ病人がただ息の通うばかりという状態である。
水籠
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
暫くして彼は、男の子の母親が赤子に添い寝をしていて
乳房
(
ちぶさ
)
で
鼻孔
(
びこう
)
を
閉塞
(
へいそく
)
させたのだと近所の人から教わった。そんな殺し方は彼には初耳だった。が、なるほどと思った。
御身
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
ブラームスの熱心な紹介者となり「これこそはベートーヴェンの第十シンフォニーに当るものだ」という警句を
吐
(
は
)
き、自ら指揮棒を
執
(
と
)
って反対者の大群を
閉塞
(
へいそく
)
させてしまった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
男は、それに、
恟
(
すく
)
みを覚えた。拒否の心理は、意気地なく、男の心の内がわに
閉塞
(
へいそく
)
される。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人は無制限に無遠慮にその力を用いてはならぬ。それはいつも規定の美に止まるであろう。単なる定則は美の
閉塞
(
へいそく
)
に過ぎない。機械が人を支配する時、作られるものは冷たくまた浅い。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
我々はいっせいに起ってまずこの時代
閉塞
(
へいそく
)
の現状に宣戦しなければならぬ。
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
常に宇宙の深遠なる悲愁、神秘なる歓楽を覚ゆるものから、当代の愚かしき歌物語が、
野卑陳套
(
やひちんとう
)
の曲を反復して、
譬
(
たと
)
へば情痴の涙に重き百葉の軽舟、今、芸苑の河流を
閉塞
(
へいそく
)
するを敬せざるのみ。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
旅順における第一回の
閉塞
(
へいそく
)
の記事が新聞紙上に載せられてある日であった。清三は喜んで返事を出した。金曜日には行くという返事が折りかえして来る。清三は荻生さんにも来遊をうながした。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
燃料を満載してある上に、しかも発火すると同時に出口が人間で
閉塞
(
へいそく
)
し、その生きた
栓
(
せん
)
が焼かれる仕掛けになっているからである。
銀座アルプス
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ある者にとっては、戦争である。甲にとっては、過去の破壊であり、君主の放逐である。乙にとっては、教会の
劫奪
(
きょうだつ
)
である。丙にとっては、未来の
閉塞
(
へいそく
)
であり、自由の破滅である。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
鼻を
閉塞
(
へいそく
)
して口ばかりで呼吸の用を弁じているのはズーズーよりも見ともないと思う。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もしこれと同じ要領でデパート火事の階段に臨むものとすれば階段は瞬時に生きた人間の「
栓
(
せん
)
」で
閉塞
(
へいそく
)
されるであろう。
火事教育
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
彼女が後を向いた様子、電気を消して
上
(
あが
)
り
口
(
くち
)
の案内を
閉塞
(
へいそく
)
した
所作
(
しょさ
)
、たちまち下女を呼び寄せるために鳴らした
電鈴
(
ベル
)
の音、これらのものを
綜合
(
そうごう
)
して考えると、すべてが警戒であった。注意であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし、それも何千人と折り重なっては困るであろうし、また満員のデパートに急な火が起これば階段が人間ですし詰めになって
閉塞
(
へいそく
)
してしまう恐れがある。
銀座アルプス
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
閉
常用漢字
小6
部首:⾨
11画
塞
常用漢字
中学
部首:⼟
13画
“閉塞”で始まる語句
閉塞戦