ちり)” の例文
暫く遊んだ牧人が小やすみをしに傍の叢に横わったとき、その全身にちりばめられたように輝く露の珠は、何と奇麗でしょう。
みちに迷いて御堂みどうにしばしいこわんと入れば、銀にちりばむ祭壇の前に、空色のきぬを肩より流して、黄金こがねの髪に雲を起せるは
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小夜子は、三キャラットもあるダイヤの粒の大きいのと小さいのと、それに大振りな珊瑚さんごのまわりに小粒の真珠をちりばめたのなど、細い指に指環ゆびわをでこでこめていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そのつばが朱黄色に染まって、雲が柘榴ざくろのように裂け、大噴火山のように赤くなった、その前に立った日本北アルプスの峰々は、猩紅しょうこう色や、金粉を塗った円頂閣となり、色彩の豊麗な宝石をちりばめた
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
ちりばめ言語ごんごぜつせし結構けつこうの座敷にてまづ唐紙からかみは金銀のはく張付はりつけにて中央には雲間縁うんげんべりの二でふだいまうけ其上に紺純子こんどんすの布團を二ツかさかたはらに同じ夜具が一ツ唐紗羅紗たうざらさ掻卷かいまきひとツありでふの左右には朱塗しゆぬり燭臺しよくだい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
江戸の闇に豪華極まる火の芸術をちりばめるのでした。