鉱山かなやま)” の例文
旧字:鑛山
鉱脈こうみゃくを探る時など、よく鉱山かなやまの山師などは、笛か鼓を持って行って、それを奏して金の有無うむを、うまくてるということだよ
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
間道かんどうからもぐりこんで、とりでをかきまわすというあぶない役目、鉱山かなやまあな細曳ほそびき一本でりさがるよりは、まだ危険きけんだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「大鳥嶽の鉱山かなやま役所とは牧野も気が付くまい、あれだけ藩の人望を背負っていたのが詰らぬことになったものさ」
(新字新仮名) / 山本周五郎(著)
またひるがえって、一方の雪渓を登れば、その中途に「鉱山かなやま」がある——輝水鉛モリブデンを出す小黒部鉱山。と言っても、ひどい有様だ。小さな板屋と藁小屋が二、三軒だけ。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
宝玉の底に光れる鉱山かなやまの富も、不思議も
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
それからひとしきり武芸にいそしみ、そうした後に各自めいめいの仕事——牧畜、耕作、香具師、伐採、鉱山かなやまの坑夫や選婦などに進んで従事するのであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
山城やまじろなので、ほりはないが、鉱山かなやま掘りの坑夫をつかって、城のまわりに塁壕るいごうを深く掘らせ、これに鈴鹿川の渓流を切って流し、寄手の徒渉としょうを困難にした。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのために遠い鉱山かなやまとやらへいらっしゃると聞きまして、取る物も取りあえずこちらへ上ったのでございます
(新字新仮名) / 山本周五郎(著)
チパンゴに在りと伝ふる鉱山かなやま
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
「おれの持船も、ことし中には百艘になろう。国もとでらせている鉱山かなやまも、来年からは黄金を生むだろう。夜が明けて、鳥が啼けば、金がえる——」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鉱山かなやま発掘の利器として愚僧造った爆弾はれつだまを人間を殺す兇器として其奴そやつ応用したのだな?」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それと云うのも神保様の大富おおとみ鉱山かなやまが駄目になって鉱石かないしが一つも出なくなったのに、こちとらの鉱山かなやま天蓋山てんがいさんからは益〻鉱石かないしが出るというので、つまり嫉妬しっとからの軍沙汰いくさざただというが
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鉱山かなやまがよいの金商人かねあきんどだの、但馬たじま越えの糸屋だの行脚僧あんぎゃそうなどだのが、ひとしきり母屋おもやでさわいでいたが、思い思いに寝入ったらしく、ともしは母屋を離れた狭苦しい一棟にしか残っていなかった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)