金陵きんりょう)” の例文
そうですかい。……金陵きんりょう(南京)のお生れで、そんなに諸国を歩きなすったか。そして、馬買いの叔父に死なれて、生業を
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それ以来僕の心のうちでは、始終あの女の事を思っている。するとまた金陵きんりょうへ帰ってからも、不思議に毎晩眠りさえすれば、必ずあのうちが夢に見える。
奇遇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「奥さん、何も御心配なされることはありませんよ。私と一緒に金陵きんりょうにお出でなさい。金陵には田地も家もあって、りっぱにくらしておりますから。」
庚娘 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
徐鉉は五代の当時、南唐に仕えて金陵きんりょうに居りましたが、南唐が宋に併合されると共に、彼も宋朝に仕うる人となって、かの『太平広記』編集者の一人にも加えられて居ります。
三年、重慶の大竹善慶里たいちくぜんけいりに至りたもう。このとしもしくは前年の事なるべし、帝金陵きんりょうの諸臣惨死さんしの事を聞きたまい、泫然げんぜんとして泣きて曰く、我罪を神明にたり、諸人皆我がためにするなりと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
すると金陵きんりょう(南京)まで下江くだる船が今夜おそく、湓浦江ほんぽこうの河口から出るという日の——まだ明るい頃だった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたしもそれは心配でしたわ。あなたは金陵きんりょうの御友だちにも、やっぱり嘘をおつきなすったの。」
奇遇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
燕王これを聞き、殷に書をおくり、こう金陵きんりょうに進むるを以て辞とす。殷答えて曰く、進香は皇考こうこう禁あり、したがう者は孝たり、したがわざる者は不孝たり、とて使者の耳鼻じびき、峻厳しゅんげんの語をもてしりぞく。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
苗字みょうじせき、名はしゅう。——金陵きんりょう建康府けんこうふの産で、あだ名を※命べんめい(いのちしらず)三郎とよばれています」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)