道行みちゆ)” の例文
かれはいまさらに美穂子の姿のいっそう強い影をその心にいんしているのを予想外に思った。こういう道行みちゆきになるのはかれもかねてよく知っていたことである。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「でも、駈落ちをしたおかげで、無事に生命いのちを助かつたんです。思つた同士は、道行みちゆきに限るのねえ。」
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それが芝居を見ると十二単衣ひとえを着て薙刀なぎなたを使ってみたり、花櫛はなぐしを挿して道行みちゆきをしたり、夏でもぼてぼてとした襟裾えりすそを重ねた上﨟じょうろうが出て来るが、それはまったく芝居だからである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
わかければ道行みちゆらじまひはせむ黄泉したべ使つかひひてとほらせ 〔巻五・九〇五〕 山上憶良
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
道行みちゆものあしめて感心かんしんして見惚みとれるくらいでございました。
「お六、飛んだ道行みちゆきだなア」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「でも、駈落かけおちをしたおかげで、無事ぶじ生命いのちたすかつたんです。おもつた同士どうしは、道行みちゆきにかぎるのねえ。」
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ときに、こよひのつきは、雨空あまぞら道行みちゆきをするやうなのではない。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)