ゆび)” の例文
つまり、不自由な方の足を、ゆび先がガクッとならないように足掌あしのひらを斜めにして、内側から外方にかけて弧線を描きながら運ぶからだよ。
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
このうち双趾類というは、足のゆびが双足の中線の両方に相対してならびあるので、豹駝ジラフ、鹿、牛、羊、駱駝、豚、河馬かば等これに属す。
「どっさりおあがんなさい」——ピエエルはこう言いながら、豚の四本の脚の、残っている十五本のゆびから十五の爪肉を掘り出してわたしに投げてよこす。
凍傷で足のゆびが腐って落ちた者がある。上唇を弾丸で横にかすり取られた者がある。頭に十文字に繃帯をして片方のちぎれかけた耳朶みゝたぼをとめている者がある。
氷河 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
露の散る草やぶを踏みわけて、うように斜面をのぼった。つるにつかまり根木に抱きついた。ゆびをさか立てて足を喰いとめた。手と足と——文字通り四肢ししをつかってあがって行った。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
バビンスキー反射というのだと、あとで児玉さんが教えてくれた。棒で擦り上げてみて、どちらかの側の足のゆびが反射的に反りかえる場合には、その反対の側に脳溢血があったものと認められる。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
……言うまでもない、それは、ゆびをみな縛りつけ、その先に剃刀の刃でも結いつけてあるのさ。趾を縛っておけば、途中でとまれないから、襲撃をすませると真直に自分の家まで帰ってくるほかはない。
平賀源内捕物帳:萩寺の女 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
足のゆびが痛いのよ。
というのは、兄貴とルピック氏が、彼のじくれた足のゆびを見て、へんてこな戯談じょうだんをいったからだ。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
そこにいる者は、脚のゆびか、手の指か、或はどっかの筋肉か、骨か、切り取られていない者は殆どなかった。家にはよろけた親爺さんか、不具者になった息子か、眼が悪い幼児をかゝえていた。
土鼠と落盤 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
アダム夫妻もと只今の人の指と足のゆびの端にある爪の通りの皮を被りいたが、惑わされて禁果をうとその皮たちまち堕ち去り丸裸となり、指端の爪をて今更楽土の面白さをおもうても追い付かず。
そして、爪先つまさきを水にれてみる。その足のゆびは、靴が小さすぎてりむけていた。そうしながら、また胃ののあたりをさすってみた。恐らく、食ったものがまだこなれていないだろう。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)