こゆ)” の例文
聞しが其の音節調子おもきを負ふて米山をこゆるによくかなひたり拍子詞へうしことばにソイ/\といふは嶮しけれども高からぬゴロタ石の坂を登るを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
日頃人に向ひて『文芸倶楽部』はわれを戴きて主筆とせしよりたちまち発行部数三、四万をこゆるに至れりと誇顔ほこりがおに語るを常としき。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
天色てんしよく倏急にはかかは黒雲くろくもそらおほひければ(是雪中の常也)をつとそらを見て大に驚怖おどろき、こは雪吹ふゞきならんいかゞはせんと踉蹡ためらふうち、暴風はやて雪を吹散ふきちらす巨濤おほなみいはこゆるがごとく、つぢかぜ雪を巻騰まきあげ白竜はくりやうみねのぼるがごとし。
夢にもこゆる汽車の道
県歌 信濃の国 (新字新仮名) / 浅井洌(著)