貸長屋かしながや)” の例文
此所も四百坪ほどの地面と表通りに貸長屋かしながやが数軒附いていた。もう一つは本郷千駄木せんだぎ町であった。
小径に沿うては田圃たんぼ埋立うめたてた空地あきちに、新しい貸長屋かしながやがまだ空家あきやのままに立並たちならんだ処もある。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
みねしゆう白金しろかね臺町だいまち貸長屋かしながやの百けんちて、あがりものばかりにじやう綺羅きら美々びゝしく、れ一みねへの用事ようじありてかどまできしが、千りやうにては出來できまじき土藏どざう普請ふしんうらやましき富貴ふうきたりし
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
小径こみちに沿うては田圃たんぼ埋立うめたてた空地あきちに、新しい貸長屋かしながやがまだ空家あきやのまゝに立並たちならんだところもある。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
母はなぜ用もない、あんな地面を買ったのかと、よく父に話をして居られた事がある。すると父は崖下へ貸長屋かしながやでも建てられて、汚い瓦屋根だの、日に干す洗濯物なぞ見せつけられては困る。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)