“貢(みつぐ)” の例文
御坊さんは少時(しばらく)無住(むじう)であつたが、翌年(よくとし)の八月道珍和上(わじやう)の一週忌の法事(はふじ)が呉服屋の施主(せしゆ)で催された後(あと)で新しい住職が出来た。是が貢(みつぐ)さんの父である。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
源氏車や菊寿(きくじゅ)の提灯(ちょうちん)に火が入って、水色縮緬(みずいろちりめん)に緋羅紗(ひらしゃ)の帯が、いくつも朧(おぼろ)の雪洞(ぼんぼり)にうつって、歌吹(かすい)の海に臙脂(べに)が流れて、お紺(こん)が泣けば貢(みつぐ)も泣く頃には、右の間の山から、中の地蔵、寒風(さむかぜ)の松並木
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
岡崎御坊へ招(せう)ずる事が出来たら結構だと云ふので、呉服屋夫婦が熱心に懇望(こんまう)した所から、朗然(らうねん)と云ふ貢(みつぐ)さんの阿父(おとう)さんが、入寺(にふじ)して来る様(やう)に成つた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
『あゝ、阿父さんの所為(せゐ)でも無い、阿母さんの所為(せゐ)でも無い、わしの所為(せゐ)でも無い。みんな彼奴(あいつ)のわざだ。貢(みつぐ)、意久地(いくぢ)があるなら彼奴(あいつ)を先(さき)に切(き)るがいゝ。』
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)