財布せえふ)” の例文
そんでも財布せえふにやまあだるよ、七日なぬかばかりはたらえてそれでも二りやうのこつたかんな、そんでまたはず前借さきがりすこししてたんだ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
巾着切きんちゃくきりの用心に財布せえふをにぎってばかりいねえでサ、その財布せえふのひもを、ちっとといたらどんなもんだい
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
財布せえふ這入へえってゝ金が一分二朱と六百あったから出して使ってしまうと、其奴がいうには、此の行李の中へ入れて置いた財布の金がえ、手前てめえ取ったろうというから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
十五日目にちめらなくつちや財布せえふふくれねえが、またひやくでもつこはねえかんな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
板子を持ってそッと其の侍のうしろへ廻り、どやそうとすると、ひょいと飛びやアがって引っこ抜いたから、驚いて船へ逃込み、慌てゝ川中へ漕ぎ出しながら、と見ると船の中に財布せえふが一つ有った
ぺえ/\と云ってグーッと引掛ひっかけたが、銭がねえんだが馴染の顔だからね、これ/\の災難せえなんに逢って布団のええだ財布せえふを忘れて来て、取りにく事が出来ねえから明日あしたの晩まで貸しておくれというと