見送みおくり)” の例文
その夜更よふけて、私は貨物船清見丸へ壮平親子を見送みおくりにいった。甲板かんぱん堆高うずたかく積まれたロープの蔭から私たちは美しい港の灯を見つめていた。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
出立しゅったつのときわかれを惜しみ無事を祈ってれる者は母と姉とばかり、知人朋友、見送みおくり扨置さておき見向く者もなし、逃げるようにして船に乗りましたが、兄の死後
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
中には生別せいべつそく死別しべつとなった人も一二に止まらない。生きては居ても、再びうや否疑問の人も少くない。此杉は彼にとりて見送みおくりの杉、さては別れの杉である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
二人とも野良へ出がけ、それではお見送みおくりはしませんからと、跣足はだしのまま並んでかどへ立って見ております。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『休暇で帰るのに見送みおくりなんかて貰はなくツてもいと言つたのに、態々わざわざ俥でやつて来てね。麦酒びーるや水菓子なんか車窓まどン中へ抛り込んでくれた。皆様みなさんに宜敷ツて言つてたよ。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
見送みおくり人人ひとびと君を囲めり。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
同道にて忠兵衞のたくに到り私しは赤坂表町家主長助と申す者なりと初對面しよたいめんの挨拶もすみさて段々だん/\と此お光よりうけたまはりしに御自分ごじぶん事八ヶ年以前八月廿八日未明みめいに平川天神御參詣の折節をりふし麹町三丁目町醫師まちいし村井長庵におあひなされしとの事道十郎殿むじつの罪におちいりしも長庵は其あさ不快ふくわいにてふせり居り弟の見送みおくりにさへ出る事あた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)