見染みそめ)” の例文
「母様の指揮さしずだろう、一々。私はこうして懇意にしているからは、君の性質は知ってるんだ。君は惚れたんだろう。一も二もなく妙ちゃんを見染みそめたんだ。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おほせ御道理ごもつともでは御座りますれど先から好みし縁談えんだんならず此方よりして若旦那が見染みそめて無理にもらひに行き此管伴ばんたうの目の黒い中に如何なる事ありとも離縁りえんはされぬと受合うけあひしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ば散したる心地こゝちせられて茫然ばうぜんたりしが面色めんしよくへ膝をすゝめコレ管伴ばんたうどの忠兵衞どのそも/\大藤の女兒むすめおみつは父母の女房にするというて婚姻こんいんいひこみしことならずこの長三郎がかれ見染みそめ和郎そなた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そゝぎ掛け忠兵衞なれば恍惚みとれもせず其儘おくへ入たればよくは見ねども一寸ちよつとるさへ比ひまれなる美婦人と思へばうちの若旦那が見染みそめて思ひなやむ道理だうり要こそあれと主個あるじに向ひチト率爾そつじなるお願ひにて申し出すも出しにくきが吾儕わたくしは本町三丁目小西屋長左衞門こにしやちやうざゑもん方の管伴ばんたうにて忠兵衞と申す者なるが今日出番かた/″\にて御覽ごらんの通り丁稚こぞう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)