見括みくび)” の例文
日清日露の戦争以来日本人は随分彼方あっちへ入り込みましたが、麻雀をやったというものは聞きません。下等なものと見括みくびっていたのです。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
見すぼらしい服装なりをして、ズックの革鞄と毛繻子けじゅす蝙蝠傘こうもりを提げてるからだろう。田舎者の癖に人を見括みくびったな。一番茶代をやっておどろかしてやろう。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それを昇は、官途を離れて零丁孤苦れいていこく、みすぼらしい身に成ッたと云ッて文三を見括みくびッて、失敬にも無礼にも、復職が出来たらこの上が無かろうト云ッた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
お人好しだから、見括みくびられている。それにしても、土佐犬の退却が有難い。何か重荷を下したような心持がすると思うと瀬戸君の件だ。
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
とはいえそれは忍ぼうと思えば忍びもなろうが、まのあたりに意久地なしと言わぬばかりのからみ文句、人を見括みくびッた一言いちごんばかりは、如何いかにしても腹にえかねる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
見え透いたことをして、真正に女を見括みくびっていますわ。私、腹が立ちましたから、子供を寝せつける風をしていつまでも待たせて置いてやりましたの。
好人物 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
あたしを棄てなきゃ、す何万という身台を棒に振らなきゃならんでしょう? ですから、出るの引くのと揉め返した挙句が、詰るとこあたしはお金で如何どうにでもなると見括みくびったんでしょう
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「余り見括みくびって貰うまいぜ。建築家の読んだ歌は流石さすがに実がある。つと起重機クレーンの原理を説いているところが豪いさ」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
ひど見括みくびりましたな。尤も僕等の子供の頃は静岡から牛肉の来た日には沼津でも『今日牛肉あり』という赤旗を
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「いや、譲歩すれば敵わないからだと思います。吉川君は何処までも僕を見括みくびっているんですから」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「無論あるさ。而も昨日だ。油断をしたよ。相手を見括みくびり過ぎたんだ。まあ、聴いてくれ給え」
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
けなしつけた。よく/\僕を見括みくびっている。そこで今度の小説は女房に対して雪辱戦という心持も手伝っている。家の主人には斯ういう芸があったのかと驚かしてやりたい。
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
見括みくびられているんですな。しかし精々心掛けます。それから又一峠ですからね」
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「そんなに見括みくびっていると、後から驚くことがあるぞ、今に僕の不誠意が分る」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と細君はもう悉皆すっかり見括みくびっている。折から俸給日で特に出迎えたのだった。
小問題大問題 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
母親がお高く止まっている上に当の娘さんが斯う見括みくびってかゝっているから、話がナカ/\はかどらない。新太郎君は洩れ聞いた数日という期限を、最初は二三日、次に四五日に解して待ち暮らした。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
一から十まで性格を読まれてしまうと、見括みくびられる。この点小室君は出発を誤っている。将来雪子さんの婿養子になる為め、商大の予科時代から小室家へ引き取られて、性格を曝露ばくろし過ぎたのである。
秀才養子鑑 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と田鶴子さんも好くない傾向でお父さんを悉皆すっかり見括みくびっている。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と豊子さんは全然僕を見括みくびっている。
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「然う見括みくびったものじゃないよ」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「そう見括みくびったものじゃない」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と秀子さんは見括みくびっている。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「当り前よ。見括みくびるな」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)