見世物小屋みせものごや)” の例文
中巻第一図と第二図とは本所御船蔵ほんじょおふなぐらを望む両国広小路りょうごくひろこうじ雑沓ざっとうなり。日傘菅笠すげがさ相重あいかさなりて葭簀よしずを張りし見世物小屋みせものごやの間に動きどよめきたり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
往来おうらいの人たちは、ふしぎな看板かんばんとおもしろそうな口上こうじょうられて、ぞろぞろ見世物小屋みせものごやめかけてて、たちまち、まんいんになってしまいました。
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そこで蛾次郎は四ツ辻をうろうろまわって、なにか見世物小屋みせものごやでもないかと、つきみや神社じんじゃ境内けいだいへはいろうとした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この「天神様」の裏の広場も僕の小学時代にはなかつたものである。しかし広場の出来たのちにもここにかかる見世物小屋みせものごやき人形や「からくり」ばかりだつた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
見世物小屋みせものごやのある方へ行って、招牌かんばんを見て歩きます。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
まずまちさかに一けん見世物小屋みせものごやをこしらえて、文福ぶんぶくちゃがまの綱渡つなわたりとかれおどりのをかいた大看板おおかんばんげ、太夫元たゆうもと木戸番きどばん口上こうじょういを自分じぶん一人ひとりねました。
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
第二に僕の思ひ出すのは池のまはりの見世物小屋みせものごやである。これはことごとく焼野原になつた。
野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)