西洋あちら)” の例文
あっしはそれを読んで行くうちに、自分の首をしめられるような気持になってしまいましたよ。西洋あちらには血も涙もない悪党が多い。
悪魔祈祷書 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「これはね、ブランと申しましてね、西洋あちらのきついお酒なのです、あなたに一口上げたいと思って待構えておりましたの」
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ところ西洋あちらでは遣物つかひものを持つてつた者に、使賃つかひちんといつて名をけるわけではないが、どるの二ツぐらゐれるさうでございます。
西洋の丁稚 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
何時か西洋の演劇雑誌で見たことのある、西洋あちら女俳優おんなやくしゃのような頭髪かみをしている、と思って私はあおむけに寝ながら顔だけ少し横にして、凝乎と微笑わらい/\女の姿態ようすに見惚れていた。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
これで先生も使賃つかひちんをやる事をおぼえ、また小僧こぞうさんも行儀ぎやうぎなほつたといふお話で、誠に西洋あちら小僧こぞうさんは狡猾かうくわつ怜悧りこうところがありますが、日本こちら小僧こぞうさんはごく穏当をんたうなもので。
西洋の丁稚 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
そんな事が……とお白眼にらみなさるな。現にこの眼で見て来た事です。但し日本の事では御座らぬ。から天竺てんじく西洋あちらの事だよ。耳も無ければ眼玉も持たない。物も云わない木魚の話じゃ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
西洋あちらの子供はいたつ利口りこうだといふお話で。著述ちよじゆつをなさるおかたがございます。
西洋の丁稚 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
何か西洋あちらの事で、私どもにはよく解りませぬけれども、夢遊病にかかってした事なら罪にならぬから、これから夢遊病の真似をして悪い事をしようか……なぞ若い者が申して笑っておりましたから
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)