衰頽すゐたい)” の例文
六角形に出来た経堂の建築物たてものもあつて、勾配のついた瓦屋根や、大陸風の柱や、白壁や、すべて過去の壮大と衰頽すゐたいとを語るかのやうに見える。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
それでどうか逃れやうはなからうかと一寸のすきを見ては私の母に泣きついて來たのであつた相なが、同じやうに衰頽すゐたいして來て居る私の家ではなか/\その借金を拂ひもならず
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
其方儀不正の無之これなく而已のみならずが家の衰頽すゐたい再興さいこうせんことを年來心掛たくはへたる金子ををしむ事なく叔母早へ分與わけあたへたるはじんなり義なり憑司ひやうじしやう次郎とまじはりをたちを退ひたるは智なり又梅を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ればこれもつたゞちに人口の減少を論じ仏蘭西フランス衰頽すゐたいを唱へるのは杞憂であつて、たとひ都会人の出産数は減少しても常に地方人がこれを補充するから都会の人口はむしろ加はるとも減る事は無い訳である。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
濃霧のうむはそそぐ……腐蝕ふしよくにく衰頽すゐたい、——
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)