トップ
>
蟠居
>
ばんきょ
ふりがな文庫
“
蟠居
(
ばんきょ
)” の例文
足柄
(
あしがら
)
の箱根の山の中には数え切れぬほどの
不逞
(
ふてい
)
の
賊
(
やから
)
どもが
蟠居
(
ばんきょ
)
しているのだそうだ。いつ我々に対して
刃向
(
はむか
)
って来るか分ったものではない。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
ウラル号は
粛々
(
しゅくしゅく
)
とした大西洋を南下し、怪人集団の
蟠居
(
ばんきょ
)
する水域に近づいていった。やがて集団城塞の手前十キロメートルのところから潜航に移った。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
このローマはだいぶ続くが、そのうちに今まで欧亜の一隅にじっと
蟠居
(
ばんきょ
)
していた蒙古族が、むずむずと動きだす。
映画『人類の歴史』
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
まことぐずり松平の御前とは知る人ぞ知る、この東海道三河路の一角に
蟠居
(
ばんきょ
)
する街道名物の、江戸徳川宗家にとっては由々しき御一門
御連枝
(
ごれんし
)
だったからです。
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
カント自身はその哲学を貫く中軸の奥に一個の存在として生きている。厨川白村の該博な知識は彼自身ではない。彼自身は別個の存在として著書
堆積裏
(
たいせきり
)
に
蟠居
(
ばんきょ
)
している。
触覚の世界
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
▼ もっと見る
だが、こういう
小商人
(
こあきんど
)
はいい。彼等は、己の都市の美観よりも、金儲けに忙がしい。只怪しからんのは、阪神という阪急と共に梅田の東西に
蟠居
(
ばんきょ
)
している大資本家である。
大阪を歩く
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
躑躅
(
つつじ
)
の古株が
崖
(
がけ
)
一ぱい
蟠居
(
ばんきょ
)
している丘から、頂天だけ真白い富士が嶺を眺めさせる場所。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
塩川は、甲信に
蟠居
(
ばんきょ
)
する八ヶ岳の雲霧の滴りである。ここまで来れば深山の鮎だ。
香魚の讃
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
政宗の意中は、いつまで奥羽の
辺鄙
(
へんぴ
)
に
欝々
(
うつうつ
)
として
蟠居
(
ばんきょ
)
しようや、時を得、機に乗じて、
奥州駒
(
おうしゅうごま
)
の
蹄
(
ひづめ
)
の下に天下を
蹂躙
(
じゅうりん
)
してくれよう、というのである。これが数え年で二十四の男児である。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
上川
(
かみかわ
)
原野を一目に見て、旭川の北方に連塁の如く
蟠居
(
ばんきょ
)
して居る。
丘上
(
おかうえ
)
は一面水晶末の様な
輝々
(
きらきら
)
する白砂、そろ/\青葉の
縁
(
ふち
)
を
樺
(
かば
)
に
染
(
そ
)
めかけた大きな
檞樹
(
かしわのき
)
の間を縫うて、幾条の路がうねって居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
犯人はそれを
明
(
あか
)
らさまに他人に
悟
(
さと
)
られることを恐れ、
殊更
(
ことさら
)
図書室の二階か一階かとなりの事務室かに
蟠居
(
ばんきょ
)
して、その秘密を取り出すことを
覘
(
ねら
)
っているのではなかろうか。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
蟠居
(
ばんきょ
)
し、関ヶ原以来は、上下の分が定まって、士分階級が二つに分れ、以後三百年来、
凡庸
(
ぼんよう
)
と雖も、門地さえ高ければ、傲然として下に臨み、下の者はいかに人材であろうとも、容易に
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
蟠
漢検1級
部首:⾍
18画
居
常用漢字
小5
部首:⼫
8画
“蟠居”で始まる語句
蟠居相