薄荷はくか)” の例文
亞米利加あめりか薄荷はくか鐵線蓮かざぐるま留紅草るこうさう、もつと優しい鳩のやうな肉よりも、おまへたちの方がわたしはすきだ。ほろんだ花よ、むかしの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
その與吉よきちみなみ女房にようばうから薄荷はくかはひつた駄菓子だぐわしを二つばかりもらつた。うら垣根かきねから桑畑くはばたけえてあるきながら與吉よきち菓子くわししやぶつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それと一しよに、ほかの二人は、へんな薬の草を口へ一ぱい入れこんで、ふう/\と、あたり一面へ、薄荷はくかのやうなきついにほひのするけむりをはき出します。
蛇つかひ (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
籃藍は相通さうつうである。第三にはへいがある。平は萍と通ずる。第四には滑石くわつせきがある。第五に薄荷はくかがある。第六に蒨草せんさうがある。洗蒨は相通である。第七に五加ごかがある。五加と吾家とは音通である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
八五郎はまた遠慮の無いことを言ひますが、平次はそれに取合はうともせず、いきなり手近の茶店の縁臺に腰をおろして、八五郎が氣にした豆ねぢと薄荷はくかを出させ、ぬるい澁茶に喉をうるほします。
「おゝ薄荷はくかだこら、くちなかすう/\すら、おとつゝあげもつてろ」おつぎは菓子くわしけようとすると
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
亞米利加あめりか薄荷はくかの花、愛の衰にふりかける胡椒こせう
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)