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船暈
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ふなよい
ふりがな文庫
“
船暈
(
ふなよい
)” の例文
船暈
(
ふなよい
)
は土を踏むとすぐ忘れたように
癒
(
なお
)
る。ここには魏の陸上本営があるので、そこへ入ったときはもう平常の曹丕らしい元気だった。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて彼がむむうとひと声うなったような気がしたので、さては
船暈
(
ふなよい
)
だなと僕は思った。もしそうであれば、下にいる者はたまらない。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
英語の先生のHというのが
風貌魁偉
(
ふうぼうかいい
)
で生徒からこわがられていたが、それが
船暈
(
ふなよい
)
でひどく弱って手ぬぐいで鉢巻してうんうんうなっていた。
夏
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
といつて
船暈
(
ふなよい
)
はたまらないが、度々行くうちには船暈など先づ先方から逃げてゆく、そこが又沖釣りの爽快さである。
夏と魚
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
彼等は
船暈
(
ふなよい
)
でへとへとになっている上に、
充
(
あて
)
がわれた食糧は、まる四日間にすっかり食い尽してしまって、今は、石のように堅くなった
麺麭
(
パン
)
の皮や
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
▼ もっと見る
お玉はこの舟に乗ってから、芸名のお玉を改めて本名のお君に返りました。慣れぬ船の中で、
船暈
(
ふなよい
)
に悩まされ通しであったのがこのお君でありました。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
先年練習艦にて遠洋航海の節は、どうしても時々
船暈
(
ふなよい
)
を感ぜしが、今度は無病息災われながら達者なるにあきれ候。しかし今回は先年に覚えなき感情身につきまとい候。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そして、あちらこちらの
船暈
(
ふなよい
)
の音を聞きながら、波の揺籃に、すこぶる健康な眠りに陥った。
比島投降記:ある新聞記者の見た敗戦
(新字新仮名)
/
石川欣一
(著)
ときどき彼が
船暈
(
ふなよい
)
を感じている人のような眼ざしを夫人の上に投げるのに注意するがいい。
聖家族
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
この臭気が軽い
船暈
(
ふなよい
)
で余程強められたのだから、航海はたしかに有難からぬものになった。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
不思議な合唱が——舞台の娘たちの死物狂いの
高
(
たか
)
調子と、それに呼応する見物席のみごとな怒号が——ワンワンと頭をしびらせ、小屋を出てしまっても、ちょうど
船暈
(
ふなよい
)
の感じで
足許
(
あしもと
)
をフラフラさせた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
この
理
(
わけ
)
を、すこし拡大して譬えによって述べて見ますと、向うに港を出帆して行く汽船があります。岸で二人の人が見ております。一人の人は
船暈
(
ふなよい
)
する人ですが、一人の人は船に達者の人であります。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
船暈
(
ふなよい
)
の研究をするためである。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
登るときは牛のようにのろい代りに、下り坂は奔馬のごとくスキーのごとく早いので、二度に一度は
船暈
(
ふなよい
)
のような脳貧血症状を起こしたものである。
箱根熱海バス紀行
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
駕
(
かご
)
に酔ったのは
船暈
(
ふなよい
)
より気もちが悪い。酔い癖のある者は駕の戸をあけて乗るがいい。ムカムカ頭痛がしてきた時には、熱湯に
生姜
(
しょうが
)
の
絞
(
しぼ
)
り汁を入れて呑む。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
相繋
(
あいつな
)
げばこういう日にも、船の揺れは少なく、士卒の間に
船暈
(
ふなよい
)
も出ず、至極名案のようですが、万一敵に火攻めの計を謀られたら、これは一大事を
惹起
(
じゃっき
)
するのではありますまいか
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いつの間にか船首をめぐらせる端艇小さくなりて人の顔も分き難くなれば
甲板
(
かんぱん
)
に長居は
船暈
(
ふなよい
)
の元と窮屈なる船室に
這
(
は
)
い込み用意の葡萄酒一杯に喉を
沾
(
うるお
)
して
革鞄
(
かばん
)
枕に横になれば甲板にまたもや汽笛の音。
東上記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
さしもはげしかった、船の動揺もやんだと思うと、やがて、入口をポンとはねて、飛びおりてきた手下どもが伊那丸のからだを上へにないあげ、すぐ
船暈
(
ふなよい
)
ざましの手当にとりかかった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
うごいているのは
船暈
(
ふなよい
)
に悩んでいる者だけであった。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
船
常用漢字
小2
部首:⾈
11画
暈
漢検1級
部首:⽇
13画
“船”で始まる語句
船
船橋
船室
船首
船頭
船渠
船長
船尾
船乗
船艙