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舟縁
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ふなべり
ふりがな文庫
“
舟縁
(
ふなべり
)” の例文
舟が静に水の上を滑った時、女は
舟縁
(
ふなべり
)
から白い手を出して冷たい水の面を指先で掻いている、そして男の方へ向ってそっと微笑んだ。
湖水と彼等
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
それもきわめて古風な舟で、
舟縁
(
ふなべり
)
に彫刻が施してある。
真鍮
(
しんちゅう
)
の金具、青羅紗の
薄縁
(
うすべり
)
、やはり非常に独創的である。薬草道人の使用舟であろう。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そのかげの小さき苫舟、いよいよに霜の凍りて、こまごまと霜の凍りて、
舟縁
(
ふなべり
)
も苫も真白く、櫓も梶も絶えて真白し。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
猫回
(
ねこがえ
)
りに、
舟縁
(
ふなべり
)
を越えて、時ならぬ水音、ザアーッと、一面の
飛沫
(
しぶき
)
に、
川面
(
かわも
)
を夕立のようにさせた。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
子供のおりのように、
舟縁
(
ふなべり
)
に
頤
(
あご
)
をもたして、過ぎてゆく水をながめる。稲妻のように飛び去ってゆく、不思議な生物の輝きが見える……また
他
(
ほか
)
のが、次にまた他のが……。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
櫓の手を止めた音次郎は、滅入るやうな淋しさと、燒きつくやうな
焦燥
(
せうさう
)
と、全く違つた二つの感情にさいなまれて、
舟縁
(
ふなべり
)
に危ふく
縋
(
すが
)
りついてゐる、お京の側へ膝を突きました。
銭形平次捕物控:218 心中崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
櫂
(
かい
)
がしわる時、
雫
(
しずく
)
が
舟縁
(
ふなべり
)
に
滴
(
した
)
たる時、
漕
(
こ
)
ぐ人の手の動く時ごとに吾が命を刻まるるように思ったであろう。白き
髯
(
ひげ
)
を胸まで垂れて
寛
(
ゆる
)
やかに黒の
法衣
(
ほうえ
)
を
纏
(
まと
)
える人がよろめきながら舟から上る。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
中程に何か積んで蓆を被せられて、流れのない汚水の上に
舟縁
(
ふなべり
)
低く繋ぎ捨てられている。それでも時々位置は変っていた。
溺るるもの
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そのかげの小さき苫舟、いよいよに霜の
凍
(
こご
)
りて、こまごまと霜の
凍
(
こご
)
りて、
舟縁
(
ふなべり
)
も苫も真白く櫓も梶も絶えて真白し。
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
あなあはれ
水
(
み
)
の
辺
(
べ
)
の柳、あなあはれかかりの小舟、寂しとも寂しとも見れ。折からや苫をはね出て、
舟縁
(
ふなべり
)
の霜にそびえて、この朝の
紅
(
あか
)
き
鶏冠
(
とさか
)
の雄の
鶏
(
かけ
)
が、早やかうかうと啼き
出
(
で
)
けるかも。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
舟
常用漢字
中学
部首:⾈
6画
縁
常用漢字
中学
部首:⽷
15画
“舟”で始まる語句
舟
舟子
舟人
舟中
舟路
舟夫
舟遊
舟行
舟尾
舟師