腕首うでくび)” の例文
勢いよくふり下ろしたが、さきの行き所は見事に狂っていた。あっ——と二の太刀、飛び退いて持ちなおそうとしたが、その腕首うでくびはもう相手にねばり強くつかまれていた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
も云ず忽ち一人の盜賊の腕首うでくびつかんで瀬戸川へ眞逆まつさかさまに投込ば生死しやうしは知れず成にけり後に殘りし惡漢ども我等が仕事の邪魔じやまるなと兩人ひとしくとび掛るを彼男は引捕ひつとらへ汝等は往來にあみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ばらばらと前列へかけ抜けてきて、いきなり、むんずと咲耶子の腕首うでくびをつかんだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
のがれなんとせども惡者承知せず彼是ふうち其骨柳こり渡せと手を掛るに傳吉今は一生懸命右をはらへば左より又た一人が腕首うでくびしつかと取てうごかせずかうはてたる折柄此處に來たる旅人あり此有樣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
取しなり或時腕首うでくび大疵おほきずうけ其後働く事かなはず彼是する中四十歳餘りにもなりしかば元祿の頃大坂を追拂おひはらはれてより十五六年も過たるゆゑ最早氣遣ひも有まじと思ひ勘兵衞かんべゑと名をかへ東堀ひがしぼり住居すまひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)