背戸口せどぐち)” の例文
背戸口せどぐちは、充満みちみち山霧やまぎりで、しゅうの雲をく如く、みきなかばを其の霧でおおはれた、三抱みかかえ四抱よかかえとちが、すく/\と並んで居た。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これを樽入たるいれ、笊転ざるころがしなどといって、そっと背戸口せどぐちからからの容器を持込もちこみ、知らぬ間に持って行くのが普通だったが、或いは竿さおのさきに樽をわえて、高塀たかべいの外からぶら下げるという例も多く
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
とうとう表通りだけでは、気が済まなくなったと見えて、まえ申した、その背戸口せどぐち搦手からめてのな、川を一つ隔てた小松原の奥深くり込んで、うろつくようになったそうで。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今しがた小雨こさめが降って、お天気が上ると、お前様めえさま、雨よりは大きい紅色べにいろの露がぽったりぽったりする、あの桃の木の下のとこさ、背戸口せどぐちから御新姐ごしんぞが、紫色の蝙蝠傘こうもりがささして出てござって
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
浜へく町から、横に折れて、背戸口せどぐちを流れる小川の方へ引廻ひきまわした蘆垣あしがきかげから、松林の幹と幹とのなかへ、えりから肩のあたり、くっきりとした耳許みみもと際立きわだって、帯もすそも見えないのが
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)