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老爺
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ぢゞい
と
言ひかけて、
左右を
見る、と
野と
濠と
草ばかりでは
無く、
黙つて
打傾いて
老爺が
居た。
其を、……
雪枝は
確め
得た
面色であつた。
雪枝は
老爺に
此を
語る
時、
濠端の
草に
胡座した
片膝に、
握拳をぐい、と
支いて
腹に
波立つまで
気兢つて
言つた。
と、ちよこなんとした
割膝の、
真中どころへ
頤を
据えて、
啣煙管で
熟と
眺める。……
老爺の
前を
六尺ばかり
草を
隔てゝ、
青年はばつたり
膝を
支いて、
手を
下げた。