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美尾
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みを
與四
郎心をつけて
物事を
見るに、さながら
戀に
心をうばゝれて
空虚に
成し
人の
如く、お
美尾お
美尾と
呼べば
何えと
答ゆる
詞の
力なさ
はかなき
夢に
心の
狂ひてより、お
美尾は
有し
我れにもあらず、
人目無ければ
涙に
袖をおし
浸し、
誰れを
戀ふると
無けれども
大空に
物の
思はれて
其文開けば
唯一ト
言、
美尾は
死にたる
物に
御座候、
行衞をお
求め
下さるまじく、
此金は
町に
乳の
粉をとの
願ひに
御座候。