をさま)” の例文
「飛んでもない、お吉さんは何んにも知つちやゐません。それより吟味與力のお家から、繩付を出して其をさまりが何うなると思ひます」
光悦寺くわうえつじへ行つたら、本堂の横手の松の中に小さな家が二軒立つてゐる。それがいづれも妙にをさまつてゐる所を見ると、物置きなんぞの類ではないらしい。
京都日記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
とりへず本署に電話をかけた、署長はじめ自動車で来ると云つてゐたから、まごまごしてゐるうちには着くだらう、さうなるとこのまゝではをさまりがつかなくなる
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
……景色けしきうだ、とかれてわるいとふものもなからうし……たゞよかつたよ、とだけぢや、きみたちのはうをさまるまいけれども、なにしろ、わたしには、松島まつしまても松島まつしまろんずる資格しかくはないのだよ。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そしてしばらまくらについてからも皷動こどうをさまらなかつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
「旦那、お芽出たうおます。……芽出たい言うても、手付けは三年も昔にをさまつたるんやもん。……お時さんのお父つあんも、毒性な人や、手付けだけ取つといて、尻食ひ觀音はなア。……そいでもまア話が附いて好かつた。」
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
平次の高笑ひに吹飛ばされたやうに、ガラツ八はをさまりの惡い顏を、次の間へ引込めて了ひました。