紋様もんよう)” の例文
旧字:紋樣
火をければ、ぱっと、海が燃えそうだ。重油船からにじみ出る油の皮膜が、マーブルペーパの紋様もんようみたいに薄くひろがっている。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
例えばわかくして山にまぎれ入った姉弟が、そのころの紋様もんようあるの衣を着て、ふと親の家に還ってきたようなものである。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
日本を出る前に、注口土器ちゅうこうどきの形と紋様もんようの分類をして、その型式を地図の上に描き現わして、文化(カルチュア)の中心を求めるという研究をした。
紋様もんようにも線彫せんぼりにも、活々いきいきしたものがあって、日本の焼物全般に絵附の衰えた今日、沖縄ばかりは今も力があるのでありますから、貴重な存在であります。
沖縄の思い出 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
然れども余は不幸にしていまだかつて油画の描きたる日本婦女のまげ及び頭髪とうはつに対し、あるひは友禅ゆうぜんかすりしましぼり等の衣服の紋様もんように対して、何ら美妙の感覚に触れたる事なく、また縁側えんがわ袖垣そでがき、障子
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
だが何も紋様もんようを置くそのことが悪いわけではない。正しい模様ならば進んで品物を活かすであろう。それならどうしたら模様を安全なものにすることが出来るか。
樺細工の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
然れども余は不幸にしていまだかつて油画の描きたる日本婦女のまげ及び頭髪とうはつに対し、あるひは友禅ゆうぜんかすりしま絞等しぼりとうの衣服の紋様もんように対して、なんら美妙の感覚に触れたる事なく、また縁側えんがわ袖垣そでがき障子しょうじ
浮世絵の鑑賞 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
我国の膳部ぜんぶにおけるや食器の質とその色彩紋様もんよう如何いかんによりてその趣全く変化す。夏には夏冬には冬らしき盃盤はいばんを要す。たれまぐろの刺身を赤き九谷くたにの皿に盛り新漬しんづけ香物こうのもの蒔絵まきえの椀に盛るものあらんや。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)