糺問きうもん)” の例文
なぜと云ふに、逆意の有無を徳川氏に糺問きうもんせられる段になると、其讒誣ざんぶあへてした利章と對決するより外に、雪冤せつゑんの途はないのである。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
糺問きうもんありければつひに白状致しけりよつて金屋の盜賊たうぞくも相知れ夫より清三郎へ追手おつてかけられたり扨牢内より彼の旅僧たびそう雲源うんげん呼出よびいだされ又伊勢屋三郎兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おほやけに於て取押へて糺問きうもんさるべき者であるにかゝはらず、其者に取つて理屈の好い将門追捕の符を下さるゝとはしからぬ矯飾けうしよくであると突撥つつぱねてゐるのである。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
忽ち糺問きうもんは始まりぬ。職業は何ぞ、資産ありや否や、親戚ありや否やなどいふことなりき。我はしづかに答へき。わが帶び來たるところのものをば、最早君等に傾け贈りぬ。
糺問きうもんせつなる。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
初め海間がばれた時、裁判官は備前の志士の事を糺問きうもんしたが、海間は言を左右に託して、嫌疑の上田等の上に及ぶことを避けた。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
殺害せつがいせしに少しも相違御座なく候と殘らず申立ければ大岡殿きか神妙々々しんめう/\と言れし時段右衞門は大岡殿に向ひ恐れながらかゝる明奉行の御糺問きうもん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
玄明の事の起らぬ前、官符があるのであるから、将門が微力であるか維幾が猛威を有してゐるならば、将門は先づ維幾のためにうながされて都へ出て、糺問きうもんされねばならぬ筈の身である。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
この大官人中の大官人と覺しく、えらさうなる一人頭をもたげて、フレデリツクとは誰ぞと糺問きうもんせり。畫工進み出でゝ、御免なされよ、それは小生わたくしの名にて、伊太利にていふフエデリゴなりと答ふ。吏。
立入与力と云ふのは、東西両町奉行の組のうちから城代のもとへ出して用を聞せる与力である。五郎兵衛は内山に糺問きうもんせられて、すぐに実を告げた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
あづかる者は器量きりやうなくて有べきや斯樣かやうなる事わきまへぬ其方にても有可ざるに事の此所ここに及べるはまことうたがはしきことどもなり是其方に疑ひのかゝ糺問きうもんせざるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)