穢多えた)” の例文
穢多に革細工これたとえば革細工かわざいくだから穢多えたにさせるとうと同じ事で、マア御同前ごどうぜん雪駄せった直しを見たような者だ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
武士族ぶしぞくとうといお方をも、いやしい穢多えたをもひとしくうやまいます。ひとりをたっとびひとりをいやしみません。
手紙 二 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
文字には「天部あまべ」または「余部あまべ」とも書きまして、もとは皮田かわたとも穢多えたとも言われておりました。これは昔の「余部あまべ」というものの名称を継いでいるのでありましょう。
昼は賃仕事に肩の張るを休むる間なく、夜は宿中しゅくじゅう旅籠屋はたごやまわりて、元は穢多えたかも知れぬ客達きゃくだちにまでなぶられながらの花漬売はなづけうり帰途かえりは一日の苦労のかたまり銅貨幾箇いくつを酒にえて
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
因縁つきの部落とは、あからさまに言ってしまえば「穢多えた」の部落なのであります。そうしてお玉もそこで生れてそこで育ったのですから、え抜きの穢多なのであります。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この異宗徒ヒーゼンとは旧日本の穢多えたという言葉の如く、極端に人をいやしむ言葉である。
日本の文明 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
「あなた様のお屋敷へ火をつけた穢多えた非人ひにん在所ありかを、訴えて出ようと思いまする」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そのうちに、穢多えたどもがわーっとときの声を揚げて、いよいよ屋敷へ乗り込んだかと思うと、そうでなく、雪崩なだれを打って逃げ出すと、そのあおりを喰って見物が雪崩を打って逃げ惑いました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「そいつは表面うわべのことなんだ、内実は穢多えたのために生捕られたという評判よ」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)