種種いろいろ)” の例文
隣の者が驚いてその家へ往って見ると、かまどの中で種種いろいろ書類かきつけや道具でも焼いたのか、その中に箱の燃えさしや紙の燃えさしが散らばっていた。
水面に浮んだ女 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
種種いろいろの学理と種種の実験とから調べましたなら男女の区別の標準を生殖の点ばかりに取るのは間違かも知れません。
産屋物語 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
若又もしまたあなたが私のもとにおで下さるならば、私の所持して居る種種いろいろの参考書類によつて私共の勢力如何いかん、私共の組織如何いかん覧に成る事が出来ると存じます。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
田舎から出てきたらしいんだが、やはり種種いろいろ仕事を捜したが無いんで此処へやってきたらしいんですよ。
幻影の都市 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
女から見れば、男は種種いろいろの事に関係たずさわりながらそのせわしい中で断えず醜業婦などに手を出す。世の中の男で女に関係せずに終るという人は殆どありますまい。
産屋物語 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
わたくし種種いろいろの新聞雑誌であなたに関した記事を非常な興味をもつて読みました。其れから私は仏蘭西フランスの婦人にむかつてあなたが甚だ厳格であつた事を苦痛をもつて考察しました。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
その窓の下にも真紅な天鵞絨を張った寝椅子ねいすをはじめ種種いろいろの椅子がきれいに置いてあった。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
私はその優雅な島、菊及びはちすの国に関し、種種いろいろ書冊しよさつの中にある美しい記載につて読みました。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
其れで筆を執らうなどとは考へないけれど、じつとうして寝て居ると種種いろいろの感想が浮ぶ。坐禅でもして居る気で其を鎮めようとしてもかへつて苦痛であるから、唯妄念の湧くに任せて置く。
産褥の記 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
造花屋と云う怪しい看板をかけて店の小棚こだな種種いろいろの造花を並べていた。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
もとより姑根性には種種いろいろあって某工学士の母の実際はどうであるか知らないが、最も極端な例に引かれる残忍な姑さえ決して世間に珍しくはないのであるから、それ以外の、あるいは悪性
姑と嫁について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
荒行をはじめた始めの一週間には種種いろいろな不思議なことがあった。
神仙河野久 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)