秋晴あきばれ)” の例文
秋の赤蜻蛉、これがまた実におびただしいもので、秋晴あきばれの日には小さい竹竿を持って往来に出ると、北の方から無数の赤蜻蛉がいわゆる雲霞うんかの如くに飛んで来る。
思い出草 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
……お二階にかい病床びやうしやうを、ひさしぶりで、下階した八疊はちでふえんさきで、かぜひやゝかな秋晴あきばれに、どうふをがりながら
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なるべく混血児の出没しゅつぼつしそうなところはないかと思ったので、秋晴あきばれの停留場の前に立っている土地の名所案内をズラリと眺めまわしたが、そこで目にとまったのは
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
秋晴あきばれやおしろいやけかほしわ
荷風翁の発句 (旧字旧仮名) / 伊庭心猿(著)
秋晴あきばれ或日あるひ、裏庭の茅葺かやぶき小屋の風呂のひさしへ、向うへ桜山さくらやまを見せて掛けて置くと、ひる少し前の、いい天気で、しずかな折から、雀が一羽、……ちょうど目白鳥の上の廂合ひあわい樋竹といだけの中へすぽりと入って
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)