はらい)” の例文
昔の方の人型ひとがたはらいをして人に代わって川へ流すもの)か肖像を絵にかせたのかを置いて、そこで仏勤めをしようという気に近ごろなりました
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
王子入城の時に二重橋の上で潔身みそぎはらいをして内に入れたことがある、と云うのは夷狄いてきの奴は不浄の者であるからおはらいをしてたいを清めて入れるとう意味でしょう。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「日々千金をついやすとも、天命ならば一日の寿もあがなうことはできまい。いわんや、英雄が死に臨んで、道士にはらいをさせたなどと聞えては、世のもの笑いであろう。無用無用」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
拍手かしわでの音清く響かし一切成就のはらいを終るここの光景さまには引きかえて、源太が家の物淋ものさびしさ。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
神のたたりに相違なしとて神前においてはらいをなし、神様に御びをするなど大いに騒ぎ立てたが、その中に一人ありて疑いを抱き、いかに神の祟とはいえ、風なきにたおるるはずなしと思い
おばけの正体 (新字新仮名) / 井上円了(著)
この島猴もっとも多し、毎年二月十一日申の日を限り、同国島の八幡の社司七日の間はらいを行い、申の日に至りてこの島に来り、猿の口開の神事を行う。この日より後この島の猴声を発すといえり。
面白い話では、七人の陰陽師おんようしが呼ばれて、千度のおはらいをした際のことだったが、中に掃部頭時晴かもんのかみときはるという老人がいた。供も少く人の群を、かきわけかきわけ進む内に、右のくつを踏み抜かれてしまった。
いたましいふうに痩せてしまったことを乳母にも言い、適当な祈祷きとうをさせてほしいと言い、祭やはらいなどのことについても命じるところがあった。
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
読経どきょう、祭り、はらいとその道々で御恢復かいふくのことに騒ぎ立っているのも、ただあの人の死の悲しみによってのことではないか、自分も今日の身になっていて、みかど御女おんむすめを妻にしながら
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
私邸のほうへもおいとまい、神々への祭り、はらいまでもひまなくさせて姫君の快癒かいゆのみ待つ薫であったが、見えぬ罪により得ている病ではないのであったから、効験は現われてこなかった。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)