はりつけ)” の例文
切支丹ならば御法度ごはっとも御法度の上に、その身ははりつけ家蔵身代いえくらしんだい闕所けっしょ丸取られと相場が決まっているんだから、——おお、苦しい! 太夫水を
魔の女め、姿まで調ととのえた。あれに(ひじ長く森をす)形代かたしろはりつけにして、釘を打った杉のあたりに、如何いかような可汚けがらわしい可忌いまいましい仕掛しかけがあろうも知れぬ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「信長は岡崎まで御出馬あるぞ、城之介殿は八幡はちまんまで、家康信長は野田へ移らせ給いてあり、城堅固に持ちたまえ、三日のうち運を開かせ給うべし」と叫んで、はりつけにせられたのは
長篠合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
足はわずかに木のこぶにささえ、からだは注連縄しめなわかれたまま、はりつけのように木のみきへしばりつけられた。目はもちろん、白いぬので、かくされていてかえってよいかも知れなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手代てだい茂右衛門もえもんと不義あらわれ、すなわち引廻しはりつけになりまする処を、記したのでありまして。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
このねがいを聞届け遣わされりゃ、殺されても、俺、はりつけになってもえのですだで。国手。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)