やぶっ)” の例文
ただ一片いっぺん布令だけの事であるから、俗士族は脇差わきざしを一本して頬冠ほほかむりをして颯々さっさつと芝居の矢来やらいやぶっ這入はいる。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
けだし廃藩以来、士民がてきとしてするところを失い、或はこれがためその品行をやぶっ自暴自棄じぼうじき境界きょうがいにもおちいるべきところへ、いやしくも肉体以上の心を養い
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
武士の魂と云う双刀をてゝ丸腰になる事なり、演説の新法を人にといこれを実地に施す事なり、又は著訳書に古来の文章法をやぶって平易なる通俗文を用うる事なり
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
乃公おれは生涯、人にむかっ此方こっちから腕力を仕掛しかけたようなことはなかったに、今夜は気に済まぬ事をしたとおもって、何だか坊主が戒律でもやぶったような心地こころもちがして、今に忘れることが出来ません。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)