矢竹やたけ)” の例文
おくらばかなしきことのんはまへなりかせて心配しんぱいさするもければたのむはひとちからのみをとこ智慧ちゑにはかんがへもなからずやとおもひたてばこゝろ矢竹やたけ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
だが発砲はっぽうすると次郎とコスターにあたるかもしれない。心は矢竹やたけにはやれども、いまやどうすることもできない。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
心は矢竹やたけにはやれどもわれ人ともに必死の場合とて、どうすることも出来ないのでした。
母上の病気全くえければ、を見たき心の矢竹やたけにはやり来て、今は思ひとまるべくもあらねば、吾れにもあらず、き程の口実を設けて帰京のむねを告げ、且つせふも思ふ仔細しさいあれば
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
が、心は矢竹やたけはやっても彼女かれはり女である。村境むらざかいまで来るうちに、遂に重太郎の姿を見失ったのみか、我も大浪おおなみのような雪風ゆきかぜに吹きられて、ある茅葺かやぶき屋根の軒下につまずき倒れた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
児を見たき心の矢竹やたけにはやり来て、今は思い止まるべくもあらねば、われにもあらず、きほどの口実を設けて帰京のむねを告げ、かつ妾も思う仔細しさいあれば、遠からず父上母上を迎え取り
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)