げん)” の例文
怪しきかな、恋愛の厭世家をげんせしむるの容易なるが如くに、婚姻は厭世家を失望せしむる事甚だ容易なり。
厭世詩家と女性 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
仰いで皎日こうじつて、目ことごとげんして後、赤豆せきとう黒豆こくとうを暗室中にいて之をべんじ、又五色のいとを窓外に懸け、月に映じてその色を別ってあやまつこと無く、しかして後に人を相す。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
今のフラミニアは我をげんせしめず、我を狂せしめずして、漸く我心と膠着かうちやくすること、寶石のまばゆからざる光の、久しきを經て貴きことを覺えしむるが如くなりき。
中にもどこへ顔を出しても、人の注意をくのは、竜騎兵中尉の方である。にあるような美男子である。人をげんするような、生々とした気力を持っている。馬鹿ばかではない。
その船内の華麗うるわしき事あたかも古代の王宮のごとく、近世の人は夢想する事も出来ぬ奇異の珍宝貨財ちんぽうかざい眼もげんするばかりにて、その間には百人の勇士を右に、百人の美人を左に
南極の怪事 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
すなわち、編首にいわゆる直接のために眼光をおおわれて地位の利害にげんするものなり。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
愛らしい青銅製の彫刻等を載せた飾り戸棚やどっしりとした帷などを四囲にめぐらして、この壮厳なる寝室中央には、人目をげんぜんばかり金色燦爛さんらんたる大寝台が、一段高くしつらえられ
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
耳をろうするような音と、眼をげんするような光の強さはその中にかえって澄み通った静寂を醸成する。ただそれはものの空虚なための静かさでなくて、ものの充実しきった時の不思議な静かさである。
田園雑感 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
四望生眩総瑩瑩 四望しぼうげんしょうじてすべ瑩瑩えいえいたり
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
人目をげんずるあでやかさの上に、貴夫人のみやびやかさを装っている。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
直接のために眼光をおおわれて、地位の利害にげんすればなり。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)