真黒まくろ)” の例文
伊太利亜イタリア名家のえがける絵のほとんど真黒まくろになりたるを掛けあり。壁の貼紙はりがみは明色、ほとんど白色にして隠起いんきせる模様および金箔きんぱくの装飾を施せり。
蜀紅しょくこうにしきと言う、天蓋てんがいも広くかかって、真黒まくろ御髪みぐし宝釵ほうさいの玉一つをもさえぎらない、御面影おんおもかげたえなること、御目おんまなざしの美しさ、……申さんは恐多おそれおおい。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ながれめての方にて折れ、こなたのくが膝がしらの如く出でたるところに田舎家二、三軒ありて、真黒まくろなる粉ひき車の輪中空なかぞらそびえ、ゆんには水にのぞみてつき出したる高殿たかどの一間ひとまあり。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
汽車きしやる、汽車きしやる、真黒まくろげに夢とどろかし
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
真黒まくろひれのひたうへに、沈々として眠るのみ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
そのもと真黒まくろなる
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
あへぎ曳き来る真黒まくろなる火薬くわやく車輌くるま
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
このとき、玻璃はり真黒まくろ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
真黒まくろなるとばりは落ちぬ。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
真黒まくろしたる音ささと
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
深沈しんちんきは真黒まくろ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)