相半あひなかば)” の例文
前にも云つたやうに、将軍の一行には蘭方医と漢方医とが相半あひなかばしてゐた。其人物の貫目より視ても、両者はたやす軒輊けんちすべからざるものであつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
天井には紅白の硝子燈をりたれど、わざと明闇相半あひなかばして處々蔭多からしめたり。室は假の庭園なり。
はな成佛じやうぶつ得度とくどなすともいふ何樣なにさま善惡ぜんあく相半あひなかばすべし偖も源八は彼の與八に暇のいでたるは我故なり今は云寄いひよる手蔓てづるもなく成りしかば通仙夫婦の者に遺恨ゐこんはらさばやと思ひてひそか鹿しか
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
天然てんねん阴阳いんやう気運きうんしよくする所ならんか。くだんごとく雪中に糸となし、雪中にり、雪水にそゝぎ、雪上にさらす。雪ありてちゞみあり、されば越後縮は雪と人と気力きりよく相半あひなかばして名産めいさんの名あり。