白色はくしょく)” の例文
鉄が熔けるときに流れ出すあのけきったような杏色あんずいろとも白色はくしょくとも区別のつかない暈光きこうが、一尺ほどの紐状ひもじょうになって、急速に落下してくる。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
食堂は二十間に八間の長方形にて周囲は紅葉流もみじながしの幔幕まんまくを張詰め、天井には牡丹形のこうおう白色はくしょく常盤ときわの緑を点綴てんてつす。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
さればかの黒色こくしょく白色はくしょくとの強き対照によりて有名なる雪中相合傘せっちゅうあいあいがさの図の如きは両個りょうこの人物共に頭巾ずきんかぶれるがため男女の区別全く判明しがたきものとはなれり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
葉をけんして見ると、バナナの方が葉質ようしつがじょうぶで葉裏が白粉はくふんびたように白色はくしょくていしており、そして花穂かすいほう暗赤色あんせきしょくであるから、わがバショウの葉の裏面りめんが緑色で
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
帰路※別に出でたるに、土人小屋あり、一人いちにんの住する無きも、傍らに熊送りの為め熊頭ゆうとうを木に刺して久しく晒したるを以て白色はくしょくとなれる数個を見たり。珍らしく覚えて一個を携え帰れり。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
然れども当時の板画はことごとく単色の墨摺すみずりにして黒色こくしょく白色はくしょくとの対照を主とし、これにたん及び黄色おうしょく褐色かっしょく等を添付したれども、こは墨摺のあとに筆を以て補色したるものなるが故に
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その花容かよう花色かしょくすこぶる多様で、紅色、紫色、白色はくしょく、黄色などのものがあり、また一重咲ひとえざき、八重咲やえざきもあって、その満開まんかいを望むと吾人ごじんはいつも、その花の偉容いよう、その花の華麗かれい驚嘆きょうたんを禁じ得ない。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)