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疳性
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かんしょう
ふりがな文庫
“
疳性
(
かんしょう
)” の例文
与一は二寸ばかりの黄色い
蝋燭
(
ろうそく
)
を
釘
(
くぎ
)
箱の中から探し出すと、灯をつけて台所のある
部屋
(
へや
)
の方へ
疳性
(
かんしょう
)
らしく歩いて行った。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
近所の
頭
(
かしら
)
のお神さんのことで、庸三も
疳性
(
かんしょう
)
のそのお神さんの手に縫ったものを着つけると、誰の縫ったものでも、ぴたり気持に来ないのであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「ありますよ。雇人が入るんで、毎晩立ちますが、私は
疳性
(
かんしょう
)
で、流しの広い、上がり湯のふんだんにある銭湯でないと、入ったような気がしません」
銭形平次捕物控:020 朱塗の筐
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一体
疳性
(
かんしょう
)
だから
夜具
(
やぐ
)
蒲団
(
ふとん
)
などは自分のものへ楽に寝ないと寝たような心持ちがしない。小供の時から、友達のうちへ
泊
(
とま
)
った事はほとんどないくらいだ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
上野の駅からこの三十四五の痩せぎすな女の
疳性
(
かんしょう
)
らしい横顔がサイにいい印象を与えていなかったのであった。
三月の第四日曜
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
余は
甚
(
はなは
)
だしき
疳性
(
かんしょう
)
にて毎朝衣服を母なる人に着せてもらひしが、常に一度にては済まず、
何処
(
どこ
)
か気持
悪
(
あ
)
しければ二、三度も着かへるを常とせるをもて、これに
由
(
よ
)
りて母なる人を
苦
(
くるし
)
めたる事もありき。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
年はもう六十恰好、お酒を頂くと、
疳性
(
かんしょう
)
で、素裸でなければ眠られないという厄介な
親爺
(
おやじ
)
、これも遠縁の飼い殺しで、こんな時役に立つような人間ではありません。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そっち
此方
(
こっち
)
戸締をしたり、一日取ちらかった
其処
(
そこ
)
らを
疳性
(
かんしょう
)
らしく取片着けたりしていたが、そのうちに夫婦の間にぼつぼつ話がはじまって、今日行ったお茶屋の
噂
(
うわさ
)
なども出た。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
黒木三之介様のお世話になっている
身体
(
からだ
)
で、いつも夕方までには、うんとめかし込んでおかなければならず、お六はお引摺りの
日髪日湯
(
ひがみひゆ
)
で、おまけに
疳性
(
かんしょう
)
と来ているから
銭形平次捕物控:033 血潮の浴槽
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
笹村は甥を呼びつけていいつけたが、甥は
疳性
(
かんしょう
)
の目を伏せているばかりで、身にしみて聞いてもいなかった。そして表で口笛の呼出しがかかると、じきにずるりと
脱
(
ぬ
)
けて行ってしまった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それがどうだろう医師の診断によると、死因は炭酸
瓦斯
(
ガス
)
中毒と、言うではないか。そんな事があるものだろうか——
尤
(
もっと
)
も私は
疳性
(
かんしょう
)
で、朝のコーヒーは自分で入れなければ承知しない。
死の予告
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「でも私、
疳性
(
かんしょう
)
ですから。」
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「主人の金右衛門が
疳性
(
かんしょう
)
で、どこか開いていなきゃ夜寝付けなかったというぜ」
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
頭痛持ちで
疳性
(
かんしょう
)
だから、夜風に吹かれるのが好きで、チョイチョイ出かけます、——本当に頭痛持ちなんですね。頭へ油をつけるのが嫌いで、三日に一度、五日に一度は洗い髪にしております。
銭形平次捕物控:321 橋場の人魚
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「捜しましたよ。大掃除ほどの騒ぎをしましたが、床下にも、天井裏にも、押入にも畳の目にも、
蚤
(
のみ
)
一匹隠れているこっちゃございません。この通り、親分は
疳性
(
かんしょう
)
で、掛物も置物もない部屋です」
銭形平次捕物控:136 鐘五郎の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“疳性”の意味
《名詞》
神経質で怒りやすい性質。
異常な潔癖症であること。
(出典:Wiktionary)
疳
漢検1級
部首:⽧
10画
性
常用漢字
小5
部首:⼼
8画
“疳”で始まる語句
疳
疳癪
疳高
疳癖
疳走
疳違
疳癪玉
疳癪持
疳癪筋
疳癪声