申立もうした)” の例文
塚田巡査は疲労をも厭わず、ただちに事件の取調べに着手した。お杉と山𤢖との死は市郎の申立もうしたてにって事情判明したが、安行は如何いかにして殺されたかく判らぬ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
村役人はそれに金をやって周の仲間であるとつくりごとをいわせ、その申立もうしたてをたてにして周の着物をはぎとって惨酷に拷問した。成はその時面会に来た。二人は顔を見あわして悲しみ歎いた。
成仙 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
警部けいぶはなしたのは、金魚屋きんぎょや笹山大作ささやまだいさく申立もうしたてについてである。途中とちゅうまで平松刑事ひらまつけいじはだまつていた。そして、ランチュウが老人ろうじんうちとどけられたのは、お節句せっくあさだとわかつたとたんに
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
其方そのほうは、いずれの者じゃ、親共の商売、名前、ぐに申立もうしたてえ」
礫心中 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
金魚屋きんぎょや申立もうしたちゅうにあつた老人ろうじん財産ざいさんについてのはなしと、平松刑事ひらまつけいじ地金屋ぢがねやから聞込ききこみとをらしあわせてみて、だれむねにもピーンとひびくものがあつた。いこんだ金塊きんかい古小判ふるこばんである。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)