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田舎源氏
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いなかげんじ
ふりがな文庫
“
田舎源氏
(
いなかげんじ
)” の例文
節子の手箱の底には二枚続きの古い
錦絵
(
にしきえ
)
も入れてあった。三代
豊国
(
とよくに
)
の筆としてあって、
田舎源氏
(
いなかげんじ
)
の男女の姿をあらわしたものだ。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一
柳亭種彦
(
りゅうていたねひこ
)
『
田舎源氏
(
いなかげんじ
)
』の稿を起せしは
文政
(
ぶんせい
)
の末なり。然ればその
齢
(
よわい
)
既に五十に達せり。
為永春水
(
ためながしゅんすい
)
が『
梅暦
(
うめごよみ
)
』を作りし時の齢を考ふるにまた相似たり。
一夕
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
三、四年前の
田舎源氏
(
いなかげんじ
)
の一件なんぞがいい手本だ。みんなひどい目に逢いながら、やっぱり懲りねえらしい。増村の息子をはじめ、その遊び仲間は
工面
(
くめん
)
のいい家の息子株だ。
半七捕物帳:63 川越次郎兵衛
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
休憩時間は十
分
(
ぷん
)
である。廊下へ出るもの、喫煙に行くもの、用を
足
(
た
)
して帰るもの、が高柳君の眼に写る。女は小供の時見た、
豊国
(
とよくに
)
の
田舎源氏
(
いなかげんじ
)
を一枚一枚はぐって行く時の心持である。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いわゆる女にしても見ま欲しいという
目眩
(
まぶ
)
しいような美貌で、まるで
国貞
(
くにさだ
)
の
田舎源氏
(
いなかげんじ
)
の画が抜け出したようであった。難をいったら余り美くし過ぎて、
丹次郎
(
たんじろう
)
というニヤケた
気味合
(
きみあい
)
があった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
かの
田舎源氏
(
いなかげんじ
)
、
自来也
(
じらいや
)
物語、
膝栗毛
(
ひざくりげ
)
、
八笑人
(
はっしょうじん
)
、義太夫本、浄瑠
理
(
ママ
)
本のごとき、婦女童子もこれを読んでよく感動し、あるいは笑い、あるいは
哀
(
かなし
)
むもの、まことに言語・文章の
相同
(
あいおなじ
)
きゆえんなり。
平仮名の説
(新字新仮名)
/
清水卯三郎
(著)
焼芋がこぼれて
田舎源氏
(
いなかげんじ
)
かな
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
させておきましたのでお遊さんは相変らず『
田舎源氏
(
いなかげんじ
)
』の絵にあるような世界のなかにいたわけでござりますが大阪の小曾部の家とわたくしの父の家とはその時分からだんだんびろくいたしまして前にも申しましたように母が亡くなります前後にはわたくしどもはろうじのおくの長屋にすむようなおちぶれかたを
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
種彦
(
たねひこ
)
の小説『
田舎源氏
(
いなかげんじ
)
』の
挿絵
(
さしえ
)
並
(
ならび
)
にその
錦絵
(
にしきえ
)
は共に国貞の描く所にして
今日
(
こんにち
)
なほ世人に喜ばる。『田舎源氏』は国貞が晩年の画風を
窺
(
うかが
)
ふべき好標本たり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その画集の中にある「ダンテの夢」と題したのは、版としても好ましく出来ていて、豊国の筆に成った
田舎源氏
(
いなかげんじ
)
の男女の姿を見るとは別の世界の存在を節子に示すであろうと思われた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
田
常用漢字
小1
部首:⽥
5画
舎
常用漢字
小5
部首:⼈
8画
源
常用漢字
小6
部首:⽔
13画
氏
常用漢字
小4
部首:⽒
4画
“田舎”で始まる語句
田舎
田舎者
田舎漢
田舎道
田舎家
田舎娘
田舎訛
田舎町
田舎侍
田舎路