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生地
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きぢ
ふりがな文庫
“
生地
(
きぢ
)” の例文
笑ひながら店先へ腰を掛けたのは四十二三の痩せぎすの男で、縞の着物に縞の羽織を着て、だれの眼にも
生地
(
きぢ
)
の
堅氣
(
かたぎ
)
とみえる町人風であつた。
半七捕物帳:01 お文の魂
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
英詩人野口米次郎氏の頭の
天辺
(
てつぺん
)
は
夙
(
はや
)
くから
馬鈴薯
(
じやがいも
)
のやうな
生地
(
きぢ
)
を出しかけてゐた。氏は無気味さうに一寸それに触つてみて
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
變つたやうに見えても人間の
生地
(
きぢ
)
——本質は變らない、などといふことぢやない、矢張生き方を云ふんだ。彼の變化は僕の變化とはまるでちがふ。
続生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
情熱と空想の世界にゐらつしやる時が一番先生の
生地
(
きぢ
)
に近い時だと思ひます。あの「悧巧」が顔を出すといやです。
S先生に
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
頬紅
(
ほゝべに
)
を赤くつけてゐると思つたのは、さうではなくて、
生地
(
きぢ
)
からの頬の赤さで
如何
(
いか
)
にも山間の女らしく見えた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
而して渋くて苦い珈琲末は心の心、霊魂の
生地
(
きぢ
)
。匙は感覚。凡て溶かして掻き廻す観相の
余裕
(
ゆとり
)
から初めてとりあつめた哀楽のかげひなたが軟かな思の吐息となつてたちのぼる。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
嫁入
(
よめい
)
つたは
三年
(
さんねん
)
の
前
(
まへ
)
、
其當座
(
そのたうざ
)
は
極
(
ごく
)
仲
(
なか
)
もよう
御座
(
ござ
)
いましたし
雙方
(
さうはう
)
に
苦情
(
くじやう
)
は
無
(
な
)
かつたので
御座
(
ござ
)
いますけれど、
馴
(
な
)
れるといふは
好
(
よ
)
い
事
(
こと
)
の
惡
(
わる
)
い
事
(
こと
)
で、お
互
(
たが
)
ひ
我
(
わが
)
まゝの
生地
(
きぢ
)
が
出
(
で
)
て
參
(
まゐ
)
ります
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
前齒を二本拔いて、眼へ紅を差した上、眉と額の毛を拔いて、
煤
(
すゝ
)
で顏を染めて居りましたが、丁寧に拭いて見ると、下から
生地
(
きぢ
)
の美しさが現はれて
後光
(
ごくわう
)
の射すやうな娘に變つて了ひました。
銭形平次捕物控:013 美女を洗ひ出す
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
つくろツた處で、何處にか昔の
生地
(
きぢ
)
が出るものだ。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それは何と云つていいかわからないが、兎も角、人間の
生地
(
きぢ
)
からそのまま來るものであることが第一に感じられた。
続生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
ところが、須磨子はこゝから滑り落ちた。これまでの芸術家から、
生地
(
きぢ
)
の女にかへつて。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
水仕事などに忙しくて、
顏容
(
かほかたち
)
をつくろふ
隙
(
ひま
)
もないらしく、いかにも生れた
生地
(
きぢ
)
のまゝで、それに白粉も紅も知らぬ肌は小麥色を通り越して、赤黒い方に近く、いかにも見すぼらしい娘です。
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
麦の穂をすうつと緑で
描
(
か
)
いてあるなんと素朴な
生地
(
きぢ
)
の木の鉢
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
地
常用漢字
小2
部首:⼟
6画
“生地”で始まる語句
生地屋
生地骨