理合りあい)” の例文
わざ理合りあいとは、車の両輪、鳥の両翼。その一方を欠けば、そのこうは断絶される。わざおもてに表れるぎょうであり、理合りあいは内に存する心である。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
其処そこの道理を推測おしはかって見ますと、尊公の腹立ふくりゅう致さるゝ処は至極何うも是は沈黙千万たるの理合りあいにあらずんば有るべからず
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かあねえだ。もの、理合りあいを言わねえ事にゃ、ハイ気が済みましねえ。お前様も明神様お知己ちかづきなら聞かっしゃい。老耆おいぼれてんぼうじじいに、若いものの酔漢よいどれ介抱やっかいあに、出来べい。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
左膳のごとき達人になれば、わざ理合りあいも、内も、外も、いっさい無差別。すべては融然と溶けあって、ただ五月雨さみだれを縫って飛ぶ濡れ燕の、光ったつばさあるのみ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
めえまア許してくれ堪忍してくれと云うが、物の理合りあいを宜く考えて見なせい、人と云うものは息ある物のつかさと云って、此のくれえな自由自在な働きをするものはねえのだ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……何、二足片足しかねえと云うのは何う云う理合りあいのもんだね。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
黙って人の物を出して使ったって泥坊と云う理合りあい何処どこるかと、喧嘩をおっぱじめたというわけさ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わざ理合りあいがともにある境地に達すれば、心に思ったことがただちにわざとなって表現するのだ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「なお心配だ。何が心配だって、こんな気になることはねえ。何がじゃねえやね、お前さん、その勘定の理合りあい因縁だ。ええ、知っていら、お嬢さんの御馳走だが、勘定は誰がするんで。勘定は、ヘッ、」
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お累さんものぼせて顔が彼様あんなに腫れ出して死んでしまったのだから、かえって三藏の方でお前を怨んでいるだろうが、何もお前の方で三藏をにくみ返すという理合りあいはあんめえぜ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それはしからん事で、何うもお前さんの様な物の理合りあいの解らん御方おかたは有りません、若主人は全くその若草花魁のために斯んな淋しい処に窮命して居る身の上ですから