いのこ)” の例文
……で先頃から、この涿県たくけんに流れてきて、山野のいのこを狩って肉をほふり、それを市にひさいで露命をつないでおるような状態です。おわらい下さい。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いのこ伯父(たぶん今三保にいるのだろうと思う、もしいなければ除く)
獄中消息 (新字新仮名) / 大杉栄(著)
まるで材木かいのこでも引っぱるように、熊手や鈎棒かぎぼうでわいわいと兵たちが許褚きょちょの体を大地に摺って連れて来たので
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして昼間ひろげていたいのこの露店をしまい、猪の股や肉切り庖丁などをつとにくくって持つとまた馳けだした。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして羊やいのこの血をそそぎ、四、五百人の左慈を珠数じゅずつなぎにひいて来て、一斉に、首を刎ねてしまった。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そのそばに、馬にのって威張って行くのは、よくいのこの肉を売りに出ていた呑んだくれの浪人者だぞ」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「無意味な殺生をしたじゃありませんか。かわいそうに、八人の家族は、われわれの旅情をなぐさめるために、わざわざいのこを求めてきて、もてなそうとしていたんです」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折ふし城中の山から、いのこを十数匹ってきた者があるので、酒倉を開き、猪を料理させて
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「きょうの狩猟かりに、我は、馬を得んとして、いのこを獲た。次の狩猟かりには、仲達という稀代なけもの生擒いけどるだろう。汝ら帰って司馬懿に告げよ。兵法の学びは少しは進んでおるかと」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
厨の外へ出て見ると、生きているいのこが、脚を木に吊されて、啼いているのだった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、たずさえてきたいのこや鶏を献物に捧げ、箪食壺漿たんしこしょうして、にぎやかに帰った。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
富家ふうかいのこあぶらえ、見かけは強壮らしいが、山野の気性を失って、いつの間にか鈍重になっている。——我には、西境北辺に、連年戦うて、艱苦のきたえをうけた軽捷けいしょうの兵のみがある。何を
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いのこは龍象のうちと申しますからきっと吉夢でしょう」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)