独逸どいつ)” の例文
独逸どいつ名高なだかい作者レツシングとふ人は、いたつて粗忽そそつかしいかたで、其上そのうへ法外ばかに忘れツぽいから、無闇むやみ金子かねなにかゞくなる
これより始終谷を下り、日没椶櫚しゆろふるエニンに到り、独逸どいつ人のホテルに投ず。今日は終日サマリヤの山を行けるなり。行程わづかに七里余。
独逸どいつでは今のようにした上等の牛乳でさえ一リートル即ち五合五しゃくが我が二十五銭に当りますから一升一合で五十銭、一升で四十五銭余です。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
素人しろうとにしてはきました、其後そのご独逸どいつへ行つて、今では若松わかまつ製鉄所せいてつじよとやらにると聞いたが、消息せうそくつまびらかにしません
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
三十年戦争の劇場としてほとんど砂漠と成りし独逸どいつこそ今は中央欧羅巴の最強国となりしにあらずや、地球と人類が年を越ゆるほど生は死に勝ちつつあるにあらずや
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
今は養父の大病にて。見とりにその身いとまなければ。それなりにして打ち過ぎしに。通方みちかたは世に国手とよばれたるくすしのみか。独逸どいつ国より来朝せるベルツ博士にまで診察を請い。
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
地中海に出動中の日本艦隊へ食糧や弾薬を運ぶ豊国丸ほうこくまるは、独逸どいつ商業破壊艦「ウルフ号」が、印度洋に向つたといふ警報を受けたので、帝国軍艦「伊吹いぶき」の保護を求めて、しきりに無電をかけながら
怪艦ウルフ号 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
独逸どいつなぞでは乾燥食料の牛乳で厳重に殺菌したものでなければ決して小児に与えません。その点は厳重なものです。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
産前産後血の道に宜しく、子宮病に宜しく、肺病に宜しく、僂麻質斯りょうまちすもとよりの事、これはわたくしが申す訳ではございません、独逸どいつのお医者様が仰しゃったので、日本温泉論にありますそうで
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此馬車道は、八年以前独逸どいつ皇帝が土耳其とるこ領内遊歴の折修繕したるものとか。独帝の漫遊以来パレスタインに於ける独逸人の活動著しく、到る処のホテルの如きも独逸人の経営にかゝるもの多し。
独逸どいつの有名なるベーリング氏は本年九月の万有学会で結核病の発生に関する研究報告を致しましたが肺結核発生の本元即ち素因そいんは乳児の乳汁にありといわれました。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
現に独逸どいつ伯林べるりんでも今より十二、三年前各処の水道の支線から不意に水が出なくなって大騒ぎをした事がある。取敢とりあえずその支線を掃除して水を通すとまた十日ばかり過ぎて水が通らなくなる。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)