独楽ごま)” の例文
旧字:獨樂
その祠を取巻いてベイ独楽ごまに興じてゐる子供たちの姿も、絶えず山の手の一角に佗び住んでゐる私の目先にいとほしく蘇つて来た。
異版 浅草灯籠 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
まるで竹童の手から狐火きつねびがふりだされるようだったが、いつもの頓智とんちず、蛾次郎がふところにある水性すいせいのふせぎ独楽ごまに気がつかず、ただ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この種類のものではその音の調子は空洞が狭くて口の穴の広いほど高くなる。うな独楽ごまの音なども同じような例である。
歳時記新註 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
違い棚のついた小さい玩具がんぐのような茶箪笥ちゃだんす抽出ひきだしには、いろんな薬といっしょにべい独楽ごまやあめ玉の袋などもあった。
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
塗板の下に集まった一かたまりは、べい独楽ごま一つのために殴り合いをはじめ、塗板拭きがけしとばされると同時に、濛々もうもうたる白墨の粉の煙幕を立てていた。
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
うなり独楽ごま、羽子板、輪投遊びの棒、跳縄とびなわ、その他一々ここに書き切れないほど、いいものが沢山あった。
べえ独楽ごまに勝ったやつがべえ独楽をふんだくるようにです、そしてふんだくったべえ独楽が彼のものであって、泥溝へ捨てようとしまって置こうと叩っこわそうと彼の自由であるように
半之助祝言 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
よく見ればそこにも流行というものがあって、石蹴いしけり、めんこ、剣玉けんだま、べい独楽ごまというふうに、あるものははやりあるものはすたれ、子供の喜ぶおもちゃの類までが時につれて移り変わりつつある。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
危険性といえば、かね胴のあて独楽ごま、これなどもよく怪我をした。
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
つぎ/\に廻り出でたる独楽ごま
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
横合よこあいから投げ独楽ごまをすくいったあかぼうと見えたのは、朱漆しゅうるしをといだ九しゃくやりであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、お粂は板の間へペッタリすわって膝の前に仕掛独楽ごまを、つくづく妙な気持で見ました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この古代独楽ごまは、竹生島ちくぶしまの宮にあった火独楽ひごま水独楽みずごまというめずらしいものだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)