犬猫いぬねこ)” の例文
僕はたびたび見たが、ひなやしなっている雌鶏めんどりかたわらに、犬猫いぬねこがゆくと、その時の見幕けんまく、全身の筋肉にめる力はほとんど羽衣はごろもてっして現れる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
身は桜町家さくらまちけ一年いちねん幾度いくどの出替り、小間使こまづかひといへば人らしけれど、御寵愛ごてうあいには犬猫いぬねこ御膝おひざをけがす物ぞかし。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
だから、かりに君ら自身が、君らを機械のように取りあつかってくれとか、犬猫いぬねこのようにならしてくれとか、私に要求したとしても、私には絶対にそれができない。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そうして、この、物理の懊悩おうのうと、天体の憂患と、犬猫いぬねこ狼狽ろうばいと、人知の粉砕のすぐあとに来たものは、ふたたび天地の整頓せいとんであり、その謳歌おうかであり、ひまわりサン・フラワーどもの太陽への合唱隊だった。
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
暫時しばしがほどもまじはりし社會しやくわいゆめ天上てんじやうあそべるとおなじく、いまさらにおもひやるもほどとほし、櫻町家さくらまちけ一年いちねん幾度いくど出替でがはり、小間使こまづかひといへばひとらしけれど御寵愛ごちようあいには犬猫いぬねこ御膝おひざをけがすものぞかし。
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)