漸々だん/″\)” の例文
嘉「へえ、是はいらっしゃいまし、久しくおいでがごぜえませんでしたな、漸々だん/″\秋も末になってめえりまして、毒虫も思うようにれねえで」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
薄暗い「きう」は軸の上に囘轉する、漸々だん/″\膨れて來るやうだ。金色こんじきかどが肌の上に現はれる。無數の蟻はぽうつと明るくなつてきた宇宙の上に降りはじめる。きうはぱつと破裂する。
さしあげた腕 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
と心を締めて居るうちに、漸々だん/″\眠くなって来たから、もゝつめッたり鼻をねじったりして忍耐がまんしても次第に眠くなる、酒を飲んで居るからいけません。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
処が此の藤本は料理が一番宜いと云うので、六斎市の前の晩から、翌日あしたの市の時も泊り、漸々だん/″\馴染なじみとなり、友達が来て共に泊ると云うような事に成りました。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
跡で若草は弥々いよ/\伊之助の事が心配になり、クヨ/\思うから、漸々だん/″\御飯ごはんも食べられないようになりました、永煩いの処へ食が止ったゆえ若草は次第に痩せ衰え
漸々だん/″\庭伝いに来て見ますと、庭に櫛だのかんざしが落ちてあって、向うを見ると桟橋の木戸が開いて居ます。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
只今漸々だん/″\世の中が開けまして、外国の法に成りましたけれども今に残り居りまするのは、鋏でも、ちょっと十銭ぐらいの小刀さすがのようなものでも銘が打ってございます
と二人は厚く礼を云い、伊之助をひっぱって連往つれゆきます。伊之助も怖いから三人で漸々だん/″\逃げて、また大門を這入って松葉屋へあがりました。それなら出て来なければいに。
揚物あげものわかるか、揚物あげものてえと素人しらうと天麩羅てんぷらだと思ふだらうが、なげえのを漸々だん/″\めたのを揚物あげものてえのだ、それから早く掛物かけものを出して見せなよ、やぶきアしねえからお見せなせえ
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
漸々だん/″\探り寄って春部が仰臥あおむけざまに寝ている鼻の上へ斯う手を当てゝ寝息を伺いました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
急がれる程おおじ/\致しますが、一生懸命に心の内に神仏かみほとけを念じて粗相のないようにと元のように皿を箱に入れてしまい、是れから白菊の方の紐を解いて、漸々だん/″\三重箱迄開け
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
漸々だん/″\さかづきがまはつてまゐるにしたがつて、二人ともふちほんのり桜色さくらいろとなりました。小
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
此奴の気象がいものだから借金だらけで、漸々だん/″\年季が増して長いが、私の様な者でも女房にょうぼにして呉れないかと云いますから、本当かと云うと本当だと申しますから、借金があってはとてもいかぬから
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)